人ならざるものに〈星〉とよばれる人間。
〈星〉の屍を喰らう異形、喰鬼。
世界そのものであり、意志でもある〈世界〉。
機構たる〈六柱〉が人の魂と器を得、生じた魔。
時には心を従え、時には心に翻弄される、
おろかでうつくしいものが織りなす物語。
自然法則
"例えば日差しが温かいのは、光明たる《昼》とそれを引き寄せる《陽》に、炎や熱の源たる《火》が結びついているためである。
昼という時間帯が明るいのは空間に《昼》が満ちているからであり、空の明暗自体にあくまで《陽》は関わりない。されども光は、昇り現れる純然たる《昼》の集合体に応じて、世界を照らしている。
《火》や《昼》をはじめとする八つの元素が、時には結合し、時には単独で、世の中のあらゆる物質や現象を構成している。"
(for Me 二章より抜粋)
用語
- 〈世界〉
- あらゆる生命が生きる空間。世界。かつては意思が宿っていたとされる。
- 元素
- 人間や喰鬼などを除いた、あらゆる現象・物質を構成するもの。種類は《地》《水》《火》《風》《昼》《陽》《夜》《月》の八つ。
動植物もこれら元素の一部として数えられる。
元素の結びつく組み合わせや量、並び方に応じて生じるモノも変わる。世界に地形・気候差があるのも、その場所に在る元素の数や種類がそれぞれ異なるため。尚これにおいて、一定の元素が皆無という空間は存在しない。
- 六柱 (むつばしら)
- 各元素の核にして根源、かつそれを司る機構。自然の秩序を守るもの。〈殷賑〉は《昼》と《陽》、〈静寂〉は《夜》と《月》。他は一柱につき一つの元素。
- 魔
- 何者かによって与えられ、〈星〉のすがたと魂を得たあとの六柱。
六柱と同一存在であるが、人間に似た器と意思を持った影響なのか、幼少の頃は力をうまく発揮できない・六柱としての自覚に欠けるなどといった場合もみられる。
植物や動物なども、いくつかの種類の元素から構成されている。しかし六柱がまだ魂を有していなかった頃に、〈世界〉の意思が「そう在れ(=結合しそれを成せ)」と命じて生じたものであるため、六柱・魔といえども元素単位での干渉は不可能。
- 〈星〉
- 人間の異称。一般には知られていない言葉。
- 星辰
- ほとんどの人間が生まれつき持っている、限定的に元素を行使する権限。例えるならば「元素に対する超限定的命令権」。命令の内容、つまり星術は個人で異なる。
- 星術
- 自身の星辰の力を以て、周囲に存在する元素へ命令を下し、一定の現象を生じさせるもの。星辰の例えに倣うならば「命令の実行結果」。
発動するごとにその現象を想像しなければならないため、一般的には術の内容が複雑になるにつれて連発は難しくなる。想像の補助として、一定の動作と紐付けたり、詠唱をしたりする場合も。
星術を使用する際には体力を消費。
体力消費の効率、規模や術の内容を考慮すると、それだけで戦闘をこなせる星術というのはあまり多くない。戦闘ないし護身においては、専ら武器を利用、またはそれと共に星術を用いるのが一般的。
- 〈虚〉 (きょ)
- 元素でも〈星〉でもない、第三の要素。
- 喰鬼 (しょくき)
- 〈虚〉が具現化した、〈星〉を喰らうもの。人間の死体を好み、死臭や血のにおいに惹かれる性質を持つ。残虐性や強さ、姿かたちなどは千差万別。
生きた人間と遭遇した場合は、死体を欲するが故に人間を殺す。死体が残るか定かではないが、魔に対しても同様である。
それぞれに形状の異なる角を持つ。絶命したのち死体は崩壊していくが、角だけは残る。
- 星魔石 (せいませき)
- 自然や現象、術を利用して元素を取り込ませ、一定量蓄えて放つことのできる鉱物の総称。
人々は溜めた元素を放出、または放ったものに結びつく元素の特性を利用することで、様々な用途で活用している。
己の術を使用せずに火や風などを起こしたり、人間には星術として直に扱えない〈殷賑〉や〈静寂〉の元素の力を利用したりといった事が出来る。
溜められるのは一種類の元素のみ。更に、放出した元素はひとつの働き(性質)しか作動させることができない。
蓄えるにあたって、複数元素が結合したものを用いる場合にはどの元素を取り込ませたいのか。放出にあたってどんな働きを望むのか。それぞれ行う際に、内容を念じる必要がある。
星魔石と呼ばれるに適う性質を持つ鉱物は、総じて無色透明。蓄えられる量やその速度、変換効率は各々で異なる。
なお一般には「星」「魔」が何を指す言葉なのか知られていないため、大抵の人間にとって「星魔」は意味のない音の羅列。
- 喰鬼討伐団
- 西の大陸における、喰鬼関連の仕事の請負組織。喰鬼退治、商人や旅人の護衛等が主な仕事となる。普段の活動が個人単位であっても、いずれかの組織には所属している。
地図
レシュア
旧市街を囲む城塞が特徴の都市。特に豊かな、しかし喰鬼の数が多い土地に在る。豊かさや人口、規模などにおいて西大陸で最も力を持つまちの一つ。
チノーヴ
西大陸との海峡を挟んですぐの港町。北・南大陸との貿易が盛ん。リエラの両親が経営している料亭もこの町にある。
ダプネ
姓を持たない民の住む島、ないし集落。外部に開かれているのは港区域のみ。住人は皆ひとつの教えを信仰している。
フースハイン
東大陸西部、北の半島にある町。チノーブからみて山脈の反対側に位置する。
ハイリヒザルク
山間の村。南西方向に山を下りるとフースハインがある。